【Factorio】自己のどす黒いエゴを見せつけられる神ゲー【工場・自動化】

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今回の記事では、工場建設サバイバルクラフトゲームの代表作である「Factorio」について、主にこの作品が持つテーマの面から、この作品の魅力を語ってみたいと思います。

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Factorioのゲーム性の魅力については、すでに他所で語り尽くされていると思うので、この記事では本作がもつテーマについて私の個人的な感想を述べるのがメインになります。多分に抽象的・主観的な内容になりますのでご留意くださいませ。

【Factorio】自己のどす黒いエゴを見せつけられる神ゲー

Factorioってどんなゲーム?

Factorioは、未知の惑星に不時着した主人公が、多種多様な素材を集めて先端技術を駆使しながら工場を建設して惑星を開発していき、最終的にはロケットを打ち上げて惑星から脱出することが目的というゲームです。

ゲーム性をざっくりとまとめると、「リアルタイム工場管理タワーディフェンス」という感じですね。

私は元ITエンジニア(プログラマー・SE)ということもあって、「自動化」というワードには興味津々なわけですが、Factorioはまさにその「自動化」をとことんまで追求できるゲームです。マインクラフの工業MODに大ハマリした人なら間違いなく楽しめる作品です。

RTS苦手な私でも楽しめた

私は「マルチタスク」が苦手です。さらに「ワーキングメモリ」という短期的な記憶力もおそらく優れているほうだとはいえません。

ですので、私は昔からRTS1というジャンルが苦手です。RTSにおいては膨大な情報を一時的(テンポラリ)に記憶に刻み込み、常にその情報の取捨選択を迫られる。そしてその都度その都度、最適解をリアルタイムに導き出さなければなりません。

ですので、RTSというジャンルは私にとって鬼門ともいえるジャンルなのです。

ですが、このFactorioについては、難易度を細かく調整することができますし、RTSの中でも、わりかしゆっくりと考えることが許される系のゲームバランスだと感じました。そのためRTSが苦手な私でもこの作品は十分に楽しむことができましたね。

自由度の高さと豊富なMOD

このFactorio、建築の自由度はとても高いです。基本的にマップ上の大半の場所に自由に建築が可能です。最初は小規模な工場からスタートですが、だんだん工場が巨大になっていき、次には巨大な工場を複数管理することになり、そうしたらそれら工場をつなぐ鉄道が欲しくなり…といった感じでどんどん支配エリアが広がっていく、そんなゲーム性です。

FactorioはMODも豊富で、輸送用の船舶や航空機を追加したり、ゲーム性そのものを変えてしまうもの、あるいは壮大な追加シナリオなど、MODも含めたら味わい尽くすためにとてつもない時間を必要とする、長きにわたって楽しめる作品だといえます。

征服者としてのどす黒いエゴ ー Factorioがもつテーマの考察

さて、このFactorioが持つテーマのうち、私が魅力的だと感じた要素について紹介していきたいと思います。この先はゲームの内容紹介というよりも、私の主観に基づく感想がメインとなります。

Factorioの舞台となる未知の惑星には、先住生物がいます。といっても、人型の生物ではなく、以下のようになんとも気持ち悪い虫のような姿をした生物です。

【Factorio】自己のどす黒いエゴを見せつけられる神ゲー

Factorioでは、この先住生物と意思の疎通をすることはできません。

そして、プレイヤーが建設する工場の規模が拡大していくにつれて、惑星上では環境汚染が進行します。その汚染度合いが一定以上になると、この先住生物が工場を襲撃してきて、容赦なく設備を破壊していきます。

そのため、先住生物の襲撃に備えてプレイヤー自身も武装して、さらにタレット2などを配置して防備を固めなくてはならない。そのようなタワーディフェンスの要素もこのFactorioの重要なゲーム要素の一つとなっています。

このような世界設定の中、先住生物とどのように関わっていくか?

これが、Factorioがもつ重要なテーマの一つだと私は感じました。

善の統治者プレイを心がけるも…

さて私は、この先住生物と争うことなく、共存するプレイをしようと決めました。環境破壊につながる設備の建設はできるだけ避けつつ、先住生物と共存してこの惑星を繁栄させたいという崇高な理想を持った人物…私は、主人公キャラクターをそのような性格付けの人物として脳内設定しました。

最初のうちはうまくいっていました。しかし、ほんのちょっとしたミスと偶然から、環境汚染の値が許容値を超えてしまい、私が精魂込めて作った工場は襲撃を受け、破壊されてしまいました。

それでも私は、なんとか平和的に解決していこうとしました。拡張しすぎた工場の規模を縮小し、環境汚染を収束させる設備を増やすよう心がけました。しかし一度狂ってしまった歯車を戻すことはできず、私の工場は先住生物から度重なる襲撃を受け、どんどん荒廃していきました。

そしてあるとき、私の中で何かが壊れたような気がしました。

私「ふざけんなコラアアアアア!いいかげんにせえやぁぁぁぁ!

私は怒りに任せてマシンガンや手榴弾を大量生産し、先住生物の巣を襲撃して、巣に潜んでいた彼らを根絶やしにしたのです。こうなるともう泥沼の戦争のはじまりです。兵器を量産するために工場を増設せねばならず、その結果として大気汚染が劇的に進行、そして新たな襲撃の発端となる…

まさに救いのない世界がそこにありました。

私はこのFactorioというゲームを通して、人間の歴史上に存在した征服者たちの心境を、追体験したような気がしたのです。

歴史上、大悪党として評され、多くの人を虐殺した征服者として現代に伝えられる人物であっても、もしかしたらその志は「世界を良くしたい」というものだったのかもしれない。

よく考えれば、先住生物がいる惑星に勝手にやってきて、工場を建設して彼らの住む環境を破壊したのはプレイヤーの方なのです。「共存共栄」などと美辞麗句を述べたところで、その本質は人間のどす黒いエゴに過ぎません。

それはさながら、資本家のエゴのようでもあります。自己が経営する企業の理念において「社会貢献」などといった耳障りの良い言葉を並べ立て、篤志家を気取ろうとも、資本家は決して資本を貧しい人に明け渡すことはしない。ただひたすら資本を拡大させることのみを志向する。

「気持ち悪い虫の姿」の意味

Factorioでは、すでに述べたように惑星の先住生物は人型ではなく、不気味で気持ち悪い昆虫の姿として描かれています。この設定がわたしたちに伝えるメッセージには「不気味だから、気持ち悪いから、だから殺してもいいのか?」というプレイヤーへの問題提起が込められているのだと私は受け止めました。

「気持ち悪い昆虫だから遠慮なく殺していいのだ」

Factorioの世界設定は、この危険な認識に、いともかんたんにプレイヤーが引き込まれるようにデザインされています。誰だって、長い時間をかけて工夫をこらして作成したモノが他者によって破壊されるのは、極めてネガティブな体験です。壊した相手に対して「許せない」「目にもの見せてやる」と思うのが自然でしょう。

襲撃してきた先住生物は「キィキィ」というなんとも虫っぽい不気味な鳴き声を発しますが、これも「お願いだからわたしたちの星を壊さないで!」という悲痛な叫びにも聞こえてきます。

しかし、Factorioにおいては工場を建設し、拡大していくことが目的。目的のためには手段を選ばないやり方が最も効率が良い、となる。

そしてプレイヤーは、宇宙の果ての惑星を舞台に、終わりなき拡大と、武装と、殺戮の物語を紡いでいくのです。我々の歴史に存在した征服者のように、そして資本家のごとく。

ただ、誤解のなきように願いたいのですが、Factorioでは、うまくやれば先住生物と争わず共存するプレイも可能です。上述したような悲劇的な結果になってしまったのは、ひとえに私の能力不足によるものです。

あと、設定変更することで先住生物の襲撃が発生しないようにすることも可能です。どのような物語を描くかはプレイヤー次第というわけです。

他の工場建設シム作品との比較

私はFactorioのような工場建設・運営ジャンルのゲームにそれほど詳しいわけではありませんが、Factorioと比較されることも多い「Satisfactory」と比較しますと、Satisfactoryは、やはり3Dの広大な世界で自由に工場を建設できる点は素晴らしいと思います。いっぽう、作品がもつメッセージの深遠さ・明確さについてはFactorioのほうがより鮮明である、といえます。

まあどちらも神ゲーです。工場建設シムが好きな方には自身を持っておすすめできる作品ですよ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

  1. リアルタイムストラテジーの略。リアルタイムに進行する時間の中で臨機応変な対応がプレイヤーに求められる。「エイジオブエンパイア」シリーズが有名。 ↩︎
  2. 様々なゲームでよく用いられる固定砲台のこと。たいていは自動照準機能を備えている。 ↩︎
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