むかーしから言われてきた以下のような主張
- 1960年代 「テレビなんか観るなバカになるぞ」
- 1970年代 「漫画なんか読むとバカになるぞ本を読め」
- 1980年代 「ゲームをやるとバカになるぞ」
- 1990年代 「ネットばかりしているとバカになるぞ」
- 2000年代 「スマホやってたらバカになるぞ」
- 2010年代以降 「SNSばっかやってたらバカになるぞ」
私は、この手の主張を見るにつけ「ああまたこの類か」と辟易します。
個人的には、こうした主張は、要するに新しいアイデアについていけなくなった人々の怨嗟と嫉妬の叫びなのだと思っています。
- 「よくわからんものは気に食わん!」
- 「なんかしらんけど楽しそうに使いこなしてる奴らがいるのはムカツク!」
ということですね。
これの発展形としては、
「よくわからんが悪影響がありそうだから規制してしまえ!」
という主張も昔から枚挙にいとまがありません。
個人的には、私は自分がどれだけ年老いようとも、決してこのような主張をするような人にはなりたくないと考えて日々を生きています。
ただ、「スマホ」についてはちょっと補足というか私なりに意見があります。
ITエンジニアとして長く働いてきて、インターネット上で仕組みを作る側として生きてきた私の意見です。
今回の記事ではスマホについて私見を述べてみたいと思います。
スマホは衝動買いやムダ買いを誘発する
スマホとPCを比較すると、ハード的にディスプレイのサイズが小さいだけではなく、搭載されているソフトウェア(OS)そのものが違います。
スマホの小さな画面に合わせて、画面内に表示される情報量が極端に少なくなっている。
これはスマホだけではなく、スマホと同じOSが搭載されているタブレットも同じです。
また、スマホ用OSでは、自分の脳に最適化した状態で複数のウィンドウを並べて、大量の情報をもとに比較検討する、という作業も困難です。そのように作られています。
このような制限された環境で、消費者としてオンラインショップや各種サービスに対峙する。
その結果、何が起きるか?
衝動買い・ムダ買いです。
あなたは能動的に消費行動をしたように考えていても、実際には「買わされている」のかもしれません。
スティーブ・ジョブズが世界に放ったもの
Apple製品には昔から縁のない私。
PCはWindowsだし、スマホはずっとAndroid。
こんな私ですが、Apple創業者であるスティーブ・ジョブズ氏はずっと心のなかに居座り続けている存在。
「Stay hungry, stay foolish(ハングリーであれ、愚か者であれ)」で有名なスタンフォード大学でのスピーチの一節、
for the past 33 years, I have looked in the mirror every morning and asked myself,
"If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?"
And whenever the answer has been "no" for too many days in a row, I know I need to change something.
以下和訳:
それから33年間、私は毎朝鏡の前の自分に問いかけてきました、
「もし今日が、人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを、私は本当にやりたいと思うだろうか?」
この問いかけへの答えが「ノー」の日が長く続く場合は、何かを変えるべきときだということがはっきりとわかります。
私はこの言葉を忘れないよう、ジョブズの写真とともに毎日目にする場所に置いてあります。
すべての人にとってインターネットを身近なものに変えたのは、ジョブズが世に放ったスマートフォンという新しい概念。
スマホとはなにか?と言われたら、こんなふうにまとめられるでしょうか。
- 直感的な操作性
タッチスクリーンやシンプルなUIによる使いやすさ。 - デザイン性
ミニマルで美しいデザインが人々を惹きつけた。 - 多機能性
電話、メール、音楽、カメラ、アプリなどを一台で実現。 - アプリストアのエコシステム
ユーザーと開発者をつなぐプラットフォームで、無限の可能性を提供。 - モバイルインターネットの普及
インターネットをどこでも快適に使える環境を提供。
これらの要素が「生活を変えるツール」として人々に受け入れられ、爆発的な普及の原動力となったことは多くの人が知るところです。
しかし私は、ジョブズが本当に世に放ったものとは、
”携帯性能の代わりに情報の集約性能を限定し、結果として衝動買いやムダ買いを誘発することでモノやサービスを爆発的に売りやすくするプラットフォーム”
だと思っています。
元来、そこそこ高度なITスキルや外国語のリテラシーを有した人しかアクセスできなかったインターネットを「スマホOS」というフィルターで包み込むことで、インターネット人口は爆発的に増えました。
このことに良いも悪いもありません。私は別にスマホを根絶すべきだとか過激なことを主張しているわけではありません。スマホは大変に便利なものです。もちろん私も使っています。
ただ、「インターネット=スマホ」
は間違いだし、スマホはその特性上、「あなたを貧しくするかもしれない」デバイスであることは多くの人に知っておいてほしいと思うのです。
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